本「邪魅の雫」

京極夏彦京極堂シリーズの今のところ最新刊である。2009年初版だけど。 これは一度は読んでいて久しぶりの小説ということでリハビリを兼ねて再読することにしたのだ。しかし800ページ強はリハビリにはちょっときつかった。

なぜ再読しようと思ったかというと、この回は「帝銀事件」や「731部隊」についても触れられており、そこをもう一度読んでみたいという思いがあったからだ。しかし一度目に読んだ記憶は曖昧なもので、帝銀事件731部隊の記述は思ったよりすくなかった。

京極堂シリーズではやはり「魍魎の匣」が一番面白いと思うがこの「邪魅の雫」もなかなか面白い。ただ人と時間の関係が複雑すぎて頭のなかで整理しながら読むのはなかなか辛い。最後の方は雰囲気だけで読んでいた感は否めない。

次作はまだか。

引用するのを忘れてた。この小説では好きな小節がある。誰かを思い浮かべてしまう。

それだけ大変なことを遣り遂げたなら、そんなに立派な仕事をしたのなら、どんなに苦労したとしても報われている筈だろう。功績があったならそれでもういいじゃないか。

そうではないのだろう。

だから褒めて、と云っているのだ。上手に出来たからお駄賃を頂戴、と云っているのだ。

児童(こども)である。

頭が悪いんだ、きっと。

そう思う

誰かに認めて貰わなければ、良くやったねと云ってもらわなければ、己の行動を己できちんと評価出来ないのだろう。

正当化も出来ない、責任も取れない。

自信がないのだ。だから恩着せがましいことを何度も何度も云う。褒めて褒めてと繰り返す。お菓子を強請る児童のように。

大の大人が見苦しい。

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)