本「黒と愛」(飛鳥部勝則)

図らずも斬首モノが続いてしまった。 実はこの後「遠見事件」(詠坂雄二)を読もうと思っていたが、もう斬首モノには食傷気味なので、次はさっぱりしたものを読みたい。

それはさておき、これも長かった。それにエグい。気持ち悪い描写が多い。そして進まない。 「ラミア虐殺」のときも基本的には暗い印象があるがこれよりはもっとサクサクと読めたと思う。

単なるホラーではなくそこは本格要素もあるのだが、このトリックはいただけない。 これはアンフェアって言っていいと思う。

ま、そこを含めて飛鳥部勝則なんだと思うけど。

最後は「ラミア虐殺」を読んだ人へのサービスなのかな?

「ラミア虐殺」と同じものを期待して読んではいけない作品。

「そう、要するに逃げなければいいのです。現実世界は確かに猛毒に満たされている。しかし、ただ一日、この一日だけでいい、この日だけならば、どれほど悲惨な目に遭っても、苦しくても、耐えられる。どんなに少しでも、歪んでいても、発信を続けることはできる。そうやって一日一日を積み重ねていけば、一ヶ月でも一年でも、十年でも百年でも、耐えられる。生きていける。生きる価値がある。これが長く人生を生きる秘訣です。不死の僕だからこそ、いえることですがね」

黒と愛 (ハヤカワ・ミステリワールド)

黒と愛 (ハヤカワ・ミステリワールド)